すべてを描く萬絵師 暁斎
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- 5月20日
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今回は中之島香雪美術館で開催されている河鍋暁斎展です。2025/6/1(日)まで開催されています。今回の暁斎展はなんと大阪初開催。
これはぜひ拝んでおかないとと思い、会場へ。

中之島香雪美術館は、大阪市北区・中之島フェスティバルタワー・ウエスト4階にある美術館です。朝日新聞社の創業者であり茶人でもあった村山龍平(1850~1933年)が収集した、日本および東アジアの古美術品を中心に所蔵・展示しています。
また、神戸・御影の香雪美術館の分館として、2018年に開館しました。最新の展示設備を備え、超高透過ガラスや個別調光可能なLED照明を用いることで、貴重な美術品を最良の状態で鑑賞できるよう工夫されています。
今回の展示会はお写真取れずだったので、絵の写真はないのですが、今回はギャラリートークのお時間に合わせて訪問したので、学芸員さんのギャラリートークが聞けました。
ただ今回のギャラリートークは、前回のパウル・クレー展の学芸員の解説とは違い、絵の解説とかではなく、あくまで学芸員さんのトークなんですね。要は学芸員さんの知識披露や絵の感想会のようなものです。そのため、暁のブログとノリは同じです。笑
なので、片耳で聞きつつ、絵の鑑賞をしました。
暁斎は、狩野派の伝統を基盤としつつ、浮世絵や戯画、風刺画、仏画、花鳥画、美人画、妖怪画、即興画など、ジャンルを問わず多彩な作品を残している画家なんですが、「その手に描けぬものなし」と評された天才画家なだけあって、本当に何描いても画力が凄まじい。
松園先生と同じですね。とにかく席画という、目の前でお客さんに絵を依頼されて即興で描いた絵なんかもとても画力が高いんですよ。。。
今回は席画で描いた絵も飾ってありました。
お客様を目の前に即興で描くって似顔絵師とも通ずるところがありますよね。。
今言われて、今即興で絵を描けるのって本当にすごいです。
そして学芸員さん曰く、今回は、なるべく絵を前面に出して、攻めた展示をしているみたいです。ショーケースには入っていますが、絵が間近で見れます。
今回は、絵がないので、美術界隈で絶対に知っておいた方がいい知識、狩野派について描きたいと思います。
暁斎は狩野派に入っていたんですが、そもそも狩野派って何?という人に向けて解説します。
狩野派(かのうは)は、室町時代中期(15世紀)から江戸時代末期(19世紀)まで約400年にわたり、日本美術界の中心に君臨した最大の絵画流派です。
狩野派の特徴
幕府御用の絵師集団
室町幕府の御用絵師・狩野正信を始祖とし、その子孫や弟子たちが織田信長、豊臣秀吉、徳川将軍家など歴代権力者に仕え、内裏や城郭、大寺院などの大規模な障壁画から扇面・小画面まで幅広く手がけました。
血縁と集団制作
狩野派は親族・血縁を中心とした集団で、安定した組織運営と分業体制を築き、長期にわたり画壇の頂点に立ち続けました。
作風と技法
中国の宋・元の水墨画(漢画)を基調としつつ、日本独自のやまと絵の要素も融合。金箔や鮮やかな色彩を用いた豪華絢爛な屏風や襖絵、精緻な筆致が特徴です。また、工房では「粉本(ふんぽん)」と呼ばれる手本をもとに、技術や様式を継承しました。
代表的な絵師
初代・狩野正信、2代・狩野元信、桃山時代の天才・狩野永徳、江戸時代の狩野探幽、京都の狩野山楽などが有名です。
歴史的意義
狩野派は、時代ごとの権力者と強く結びつき、400年にわたり日本美術の正統・本流として発展しました。
その集団制作や分業体制、技術の体系化は、現代の企業やアートチームにも通じる組織力を持っていました。
要は、狩野派は、日本絵画史上、規模・影響力ともに他に類を見ない存在であり、今日の日本美術鑑賞のうえでも欠かせない流派なんですね。
展覧会の最後の章に、1881年に描かれた枯木寒鴉図というのがメインの絵として飾られています。こちらは鴉が木に止まっている絵です。
こちらの絵は博覧会で最高賞を取るなど、暁斎の絵の中で最も高く評価された絵です。
その当時では相場を遥かに上回る100円という値で購入され話題となりましたが、批判も殺到。これに、暁斎はこの100円というのは絵の価格ではなく、自分が十数年千辛万苦して絵を学んだことの対価と発言し、批判も止んだとのことです。
この鴉さんの絵はぜひ見ていただきたいです。
余談ですが、この鴉さんの絵の手前に、1867年に描かれた、放屁合戦絵巻という面白い絵が飾られていました。こちらもクスッと笑えるので、ぜひご鑑賞あれ。
そんなに大きい会場ではなく、フラット1時間もあれば鑑賞可能なので、ぜひ大阪に来た際はお立ち寄りくださいませ。
展覧会名:すべてを描く萬絵師 暁斎
会期:2025/4/26-2025/6/1
場所:中之島香雪美術館
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