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べらぼうな浮世絵師18人展

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  • 4月13日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月1日

今回ご紹介するのは、大阪浮世絵美術館で開催中の「べらぼうな浮世絵師18人展」です。

2025/7/13(日)まで開催中です。


今回の展覧会は入り口の2作品以外写真撮影禁止ということで、作品写真はありません、、、

ということで、今回は展覧会の詳細や浮世絵についてお話していこうと思います。


大阪浮世絵美術館は、大阪・心斎橋の繁華街に位置する都市型美術館で、浮世絵の本質を間近で体感できることが最大の魅力です。

「江戸のマスメディア」としての浮世絵の本質を、現代の都市生活に溶け込ませた展示空間。四大巨匠の名品を常時鑑賞できる点が最大の強みで、ルーペを使った微細な技術観察は他館では得難い体験です。


というわけで、本展覧会の入り口。


本展覧会ポスター
本展覧会ポスター


大阪浮世絵美術館 入り口
大阪浮世絵美術館 入り口

繁華街の中に小さく佇む美術館なので、ちょっとわかりにくいですが、心斎橋商店街の中ほどにあります。

入り口に飾られている神奈川沖浪裏のタペストリーがかっこいいですね。


写真撮影可能な、入り口に飾られている浮世絵2枚がこちらです。


1830~1832 葛飾北斎 富嶽三十六景/神奈川沖浪裏
1830~1832 葛飾北斎 富嶽三十六景/神奈川沖浪裏

1830-1834 葛飾北斎 富嶽三十六景/凱風快晴
1830-1834 葛飾北斎 富嶽三十六景/凱風快晴

この2枚は皆さんも見たことがあるのではないでしょうか?

とても有名な葛飾北斎の富嶽三十六景です。

今回の展覧会は葛飾北斎を含め、18人、54作品を鑑賞することができます。

有名どころですと、富嶽三十六景以外にも東海道五十三次や月百姿などが展示されています。


【本展の展示の絵師】 喜多川歌麿・葛飾北斎・三代歌川豊国・歌川広重・歌川 国芳・歌川貞秀・歌川芳艶・二代歌川広重・歌川芳員・ 歌川芳盛・楊洲周延・月岡芳年・長谷川小信・野村芳 国・尾形月耕・水野年方・月岡耕漁・楊斎延一


錚々たる面々ですね。

江戸から明治にかけての浮世絵の多様性を体現する本展は、「職人技と表現の革新性」を再認識させる刺激的な構成となっています。


というわけで、今回は皆さんにこの展覧会を見に行く前に浮世絵とはなんぞ?というところをご説明していきたいと思います。


浮世絵ってよく聞きますが、皆さんしっかりと説明できますか?

浮世絵って展覧会を巡っていると本当に色々なところで見るんですよ。

現在京都国立近代美術館で開催中の若きポーランドでも浮世絵に影響された作品がいくつか見れたり、浮世絵って西洋美術へ与えた影響が大きいんですよね。

なので、これを機に浮世絵について勉強してみましょう。


まず浮世絵の語源について。

「憂き世」から転じた「浮き世」=「現世を楽しむ」という思想からきています。

肉筆画(直接描く)と木版画(分業制による量産)の2種類の形式があり、主題は美人画・役者絵・名所絵・歴史画など多岐にわたります。


代表的な技法は下記となります。

  • 雲母摺り: キラキラ光る背景表現(歌舞伎絵など)

  • 空摺り: 凹凸で立体感を演出(着物の質感など)

  • グラデーション: 刷毛で色をぼかす「ぼかし摺り」

金銀加工: 箔や粉で豪華な装飾


浮世絵の社会的な影響力としては、喜多川歌麿の美人画が流行の髪型を生み出したりするファッション発信の素養や、歌川広重の名所の絵が旅ブームを牽引したりする観光促進の一面があります。

西洋美術に与えた影響も大きいですね。

一言で言いますと、浮世絵は「江戸のマスメディア」として、情報伝達・芸術表現・技術革新の3要素を融合させました。

庶民が初めて手にした「民主的な芸術」としての側面と、職人技の結晶としての美術的価値が、現代でも新たな解釈を生み続けています。


なぜ浮世絵は当時の江戸の娯楽として流行ったのか?

先程江戸のマスメディアと表現しましたが、要は浮世絵は今でいう「江戸のSNS」みたいなものなんですよ。

ファッションだったり、歌舞伎役者の推し活だったり、観光ガイドブック的な要素だったりと、色々な情報収集ができて、かつ低価格で手に入る娯楽として普及したということですね。技術革新で効率的に大量生産できるようになったのも浮世絵文化形成の要因ではないでしょうか。


主要絵師と代表作一覧です。

葛飾北斎

風景画

《神奈川沖浪裏》

歌川広重

名所絵

《東海道五拾三次》

喜多川歌麿

美人画

《ポッピンを吹く娘》

東洲斎写楽

役者絵

《市川蝦蔵の暫》

歌川国芳

奇想画

《相馬の古内裏》

やはり世界的に影響を与えた有名絵師は、葛飾北斎ですね。

今回の展示会も54作品中10作品は葛飾北斎の作品です。

作品としては、ひとまず富嶽三十六景の神奈川沖浪裏と凱風快晴が有名どころです。

人物としましては、死の間際、90歳で「あと10年、いや5年生きれば真の絵師になれる」と語ったそうです。また、信ぴょう性に欠けるとの指摘もありますが、生涯で93回引っ越しをしていて、画号を30回以上変えているみたいです。

私の中では、「画狂老人卍」という画号が少年ジャンプを感じます。笑(冗談です。)

葛飾北斎は、ゴッホやモネにも影響を与えたことで有名ですね。

ゴッホが《花咲く梅の木》で模写しています。

そんな葛飾北斎については、言わずもがな誰でも知っていますね。


ちなみに私一推しの浮世絵師さんは、四大浮世絵師の一人、東洲斎写楽です。

謎の天才絵師、写楽。皆さんはご存知でしょうか?

残念ながら、今回の展覧会では作品の展示はありません。。。が、好きなので解説します。

江戸時代に突如現れ、わずか10ヶ月で145点以上の作品を残して消えた「浮世絵史上最大のミステリー」と評される写楽です。

とてつもなくかっこいい絵師ですね。

1794年5月、蔦屋重三郎の版元から28点の役者大首絵を一挙発表し、華々しくデビューしました。

写楽は「役者の魂を彫刻する版画家」でした。その突然の出現と消失は、現代の「匿名アーティスト戦略」を先取りしたかのようですね。黒雲母摺の輝きが象徴するように、江戸の闇に浮かび上がる役者の本質を、わずか10ヶ月で彗星の如く描き尽くしました。

写楽の人気は、大胆にデフォルメして、役者の個性を描くところにあります。

ドイツのユリウス・クルトが著書「SHARAKU」にて写楽をシェイクスピアと評し、世界的にも知名度が高まりましたね。

写楽の正体については、能役者の斎藤十郎兵衛説が濃厚みたいです。

当時の浮世絵師にとって、浮世絵の販売プロデュースというのはとても大切なことです。匿名性が現代のバンクシー的戦略と相通じる物を感じますね。

蔦屋重三郎と写楽の共同プロデュース力の高さは、現代を生きるアーティストの皆様が学びたいところではないでしょうか。


ちなみに四大浮世絵師のあと2人は誰でしょうか?

歌川広重、喜多川歌麿の2人ですね。

今回の展覧会では、歌川広重が7作品、喜多川歌麿が3作品、展示されています。

喜多川歌麿は、美人画で有名な絵師さんですね。

着物の柄や髪型など女性のファッションの流行を生み出していました。

歌麿のモデル選びは厳格で、難波屋おきたや高島屋おひさなど実在のカリスマ美人を起用していたみたいです。現代で言う「インフルエンサー起用戦略」で作品の信憑性を高めました。このリアリティ追求が、浮世絵を単なる絵画から「江戸のSNS」へと進化させた要因と考えられます。


歌川広重は、東海道五十三次が有名ですね。今回の展覧会でも4作品は東海道五十三次からです。

ゴッホが《名所江戸百景》を模写したことや、モネの睡蓮連作で構図的影響を与えたことでも知られています。

そんな歌川広重は、実用的な観光ガイドブックかのごとく色々な名所を描いていき、旅行ブームの火付け役でもあります。

歌川広重は「風景画の民主化」を成し遂げました。従来の俯瞰図的な名所絵から、「旅人の視点」で情感を込めた表現へ転換。特に《東海道五十三次》は、現代の写真集のような「視覚的旅行記録」として、浮世絵に新たな社会的役割を与えたと考えられます。



皆様浮世絵について、理解は深まりましたか?

今回の展覧会では、以上の浮世絵の知識をもとに、楽しんでみてくださいね。


浮世絵については、他の絵師さんについても、また記事をまとめたいと思います。

日本の総合芸術として、浮世絵を学び、浮世絵に触れてみませんか?



展覧会名:べらぼうな浮世絵師18人展

開催期間:2025/2/18-2025/7/13

場所:大阪浮世絵美術館




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